セーフティー・はーと

2002年4月の記事一覧

第20号

大島 榮次  <安全工学協会 会長>
最近、浜岡原子力発電所の水素爆発の事故を始めとして、高圧ポリエチレンプラント、ナイロン紡糸プラント、石油精製の脱硫プラントなど、と幾つかのプラントの事故が発生しております。
 幸いどの事故も人身に被害はありませんでしたが、社会的な不安を引き起こした点の責任は免れません。 しかし、日本のプラントの安全性は国際的に見て、非常に高い水準にあることが統計的には示されております。 米国のある保険会社の人から、何故日本ではプラントの事故件数が少なく、しかも事故の規模が小さいのかと尋ねられたことがあります。 現場をまもるオペレーターが優秀であるということは大きな原因であると言うことが出来るでしょう。 しかし、いまだに失敗が散見されるのは残念なことであります。 最近の事故の原因を見ると、従来の安全管理技術の裏をかくような、想像し難かった状況で事故になっている例が多いようです。 言い換えれば、今では当たり前の事故は起こさない技術水準に達しており、これから起こるのは難しい事故ばかりということにになるのかも知れません。 風邪のビールス退治のように、事故は常に皮肉な条件で起こるので、絶えず新たな取り組みが求められということでしょう。