セーフティー・はーと

2002年5月の記事一覧

第21号 明石歩道橋事故に想う

(株)三菱総合研究所 客員研究員  坂 清次
昨年7月、花火大会の雑踏で死傷者280名を出した歩道橋事故は、幼い子どもを含む11名の方が亡くなるという痛ましい惨事であった。
事故は予見可能であり、雑踏警備に不備があったということで、警察官を含む署、市、警備会社の当時の幹部12名が書類送検された。折しもワールドカップを控え、フーリガン対策など話題を呼んでいるが、保安面から考えてみることにする。警備計画と当日の群衆雪崩に至る当時の緊急事態との両面があるが、ここでは警備計画に焦点を当てる。
 主催者の明石市が警備会社に作らせた警備計画書が、前年に開かれた年越しイベントの計画書の丸写しであったことが分かった。実はそのカウントダウンイベントそのもので、現場で大きな混雑が発生していたのである。警備会社も丸投げした市も警察署もそのことを忘れていたのであろうか。イベントの反省会で問題点が浮かび、報告書が残されていたらと悔やまれる。お互いにまずいことは、消去されたのであろうか。神様ではないわれわれが、精いっぱい出来ることは過去に学ぶことである。もっと手短には、PDCAサイクルを回すことである。それもリスクは必ず存在するという、素朴な感覚が出発点である。この事故から学ぶところは多く、関連した情報も多数公開されているので他山の石としたい。
ご安全に