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第97号 制度体制か,はたまた価値観か
投稿日時 : 2005/11/06
事務局
高野研一 < (財) 電力中央研究所>
1999年以降,企業の不祥事や事故が相次いでいる。事故の形態や起こった業界によって原因や経緯は様々であるが,スケジュール優先,過去に学んでいない,潜在リスク軽視等の共通点も見られる。
1999年以降,企業の不祥事や事故が相次いでいる。事故の形態や起こった業界によって原因や経緯は様々であるが,スケジュール優先,過去に学んでいない,潜在リスク軽視等の共通点も見られる。
このような企業の中には,不幸にして業務を再開できない企業,企業規模の縮小を迫られたところもある。存続した企業は例外なく,未然防止のための体制や規程などを整えつつある。
しかしながら,体制や規則などの仕組みが思惑通り機能するかというとそうでもない。
例えば,リコール隠しを犯した企業は当初,専門家でも非の打ち所のない倫理コンプライアンス体制を構築したといわれているが,その後,繰り返しこの問題が発覚し,最終決着らしきものを見たのはごく最近である。
したがって,日本人は体制や仕組みに多くを期待しがちであるが(ISO認証企業は我が国が最多であることなど),このような仕組みの実効性を確保するには,人・組織など人間側への配慮が不可欠である。
すなわち,どんな小さなリスク,たとえ,それが自分にとって都合が悪い情報であってもそれらを共有できる文化を根底にもち,そのリスク情報への対応を客観視して公平に決断できるような,組織としての価値観共有がなければ,どんなに立派な仕組みも機能しないことを教えてくれた。事例は常に最高の教師である。