セーフティー・はーと

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第132号 第三者というもの

土屋 正春 <株式会社 三菱総合研究所 科学・安全政策研究本部> 2011年4月25日掲載
「第三者認証機関」という言い方は、国際標準的には正確ではない。
なぜなら、「認証」というものは、第三者によって行われるものと定義されているから、という理由である。ものを作ったり売ったりする人が第一者、それを買う人が第二者。第二者としては、その取引にあたって、第一者がごまかしていたりすると困る。そこで正当性を確認するための存在として、どちらからも独立した第三者が登場することになる。

企業の品質マネジメントシステムや環境マネジメントシステムの認証を行っている組織は、この第三者。この面では、品質や安全が確保されていることを証明する合理的な方法として、日本でも認識されてきたといえる。しかし、一般には、第三者の考え方が定着しているとは思えない。市場に流通する商品を良く見ると、安全や品質を確認しましたという意味の多種多様のマークが表示されている。それらには、第三者が付けているマークもあるが、実は第一者が付けているマークも数多い。製造した企業や業界団体が、自らの製品の安全性や品質の確認を宣言することは悪いことではない。しかし、それがなんとなく客観的な証明として受け取られてしまうとしたら問題だろう。製品に表示されているマークを見かけたら、第三者という立場からも考えてみていただければと思う。