セーフティー・はーと

2007年6月の記事一覧

第113号

渕野哲郎 <東京工業大学>
昨日,アメリカ合衆国ミネソタ州ミネアポリスで高速道路の橋梁が崩落した。
まだ行方不明の人が何十人もいる現在,一人でも多くの方の生存発見を祈るばかりである。
それにしても,日本に限らず,世界中何かおかしいのではないだろうか?本当のところはわからないが,新聞やネットニュースが伝える限りでは,この橋は1967年開通で,1990年すでに接合部の腐食,劣化による亀裂が見つかり「構造上の問題」が指摘されていたが,2005年2006年の検査で,亀裂の進行の拡大がないことを理由に,重量制限なしの継続使用となったとのことである。また,1950年代,60年代の橋は構造上の問題が多いことや,全米で7万箇所以上の橋が同様の問題を持っていることを伝えている。

「わかっていたんじゃない」と言いたくなるし,継続使用を判断したときの根拠,設計強度と当初想定交通量に対し,交通量が激増した段階での余寿命をどう推定したのかなどなど,懐疑的な目で見たくなる。「結局,事が起こらないと対処しない」ところは,どこも同じかと思わざるを得ない。日本では,柏崎刈羽原発の問題,ジェットコースターの事故,エレベータの事故,湯沸かし器の事故,トラックのハブ設計強度不足の問題に,加えて隠蔽・・・・「やはり重要なのは,安全文化(Safety Culture)なのかなー?本当は,エンジニアの要件なのに・・・」とぼやきたくなるのは,私だけ???