セーフティー・はーと

2005年1月の記事一覧

第85号

高木伸夫 <システム安全研究所>
1:29:300というハインリッヒの法則が示すように,大きな事故の背景には300という小さなトラブルが発生しており,小さなトラブルを防止することが大きな事故の防止につながる。
安全工学協会では,石油産業安全基盤整備事業の一環として(財)石油産業活性化センターのもとで石油各社の委員の協力を得て製油所を対象としたヒヤリハット事例を活用するプロジェクトを進めている。なお,対象とするヒヤリハットは滑った・転んだといった行動災害に関するものでなく,危険物質の漏洩や火災・爆発,装置の破損につながる恐れのあるヒヤリハット(いわゆるプロセスヒヤリ)である。どのようなヒヤリハットがどのような装置で発生しているのか,発生要因は何か,何故ヒヤリハットでとどまり事故にまで進展しなかったのかなど,ヒヤリハットに関する情報の体系化をはかり,石油産業における安全基盤の強化に役立てようとするものである。平成16年度は予備調査を行なったが,今後,平成19年度までの3ヵ年で事例収集とヒヤリハット情報処理システムの構築を図る予定である。地道な作業であるがこのシステムが完成し事故の予防に役立てれば幸いであると思っている。