セーフティー・はーと
第56号 廃棄物処理施設における火災・爆発事故
安田憲二
最近、廃棄物処理施設における火災・爆発事故が多発している。例として、第51号で取り上げた8月19日の「三重ごみ固形燃料発電所」における爆発事故のほかに、11月5日の早朝に神奈川県大和市で発生した「生ごみ処理機」の爆発事故などがある。
最近、廃棄物処理施設における火災・爆発事故が多発している。例として、第51号で取り上げた8月19日の「三重ごみ固形燃料発電所」における爆発事故のほかに、11月5日の早朝に神奈川県大和市で発生した「生ごみ処理機」の爆発事故などがある。
これらは、いずれも貯留、処理の過程で発生した可燃性ガスが直接の原因であると考えられているが、詳細は不明である。
廃棄物処理施設での爆発事故としては、昭和52年ごろから焼却施設の灰バンカー内における爆発事故が数多く報告されている。この原因は灰と冷却水が反応して可燃ガスが発生したためであるが、これらの事故は思いがけない場所で起こることが多く、しかも可燃ガスが発生することに関して認識があまりないことから、原因不明として扱われることが多い。このため過去の経験が生かされず、現在もこの種の事故が繰り返されている。
現在、労働災害の発生は毎年減少しているが、廃棄物処理業では発生率がきわめて高いうえに減少していないなど、ほかの産業と比べて特異な状況にある。これまで、廃棄物処理に関しては処理技術の開発が主であり、安全性に対してあまり注意が払われてこなかった。可燃性ガスによる火災・爆発事故は死亡事故を招くことが多いことから、今こそ専門家の英知を集め、事故の撲滅に向け奮起すべき時ではないか。