セーフティー・はーと
第70号 PSAM7に参加して
福田 隆文 <横浜国大>
確率論を基にした安全評価と管理に関する国際会議PSAM(Probabilistic Safety Assessment and Management)が、今年はベルリンで6月14日から18日までに開催され、私も参加してまいりました。500余件に発表があり、盛況でした。
確率論を基にした安全評価と管理に関する国際会議PSAM(Probabilistic Safety Assessment and Management)が、今年はベルリンで6月14日から18日までに開催され、私も参加してまいりました。500余件に発表があり、盛況でした。
発表は、広範な分野におよんでいました。OECDにおける安全管理システムの構築と各国への導入など大局的なマネジメントシステム構築に関するものもありました。私たちの日々の研究は、組織・職場の任務に従っていますから、それほど自由にテーマが選べるわけではありませんが、技術者もマネジメントシステム(何もこの例のような国レベルのことでなくて、工場レベルでもマネジメントはありますし、そのような発表も多くありました。)の問題にも関心をもっていたいと思います。年末の安全工学研究発表会で、オーガナイズドセッションで関連するマネジメントやシステムつくりの話が聞けるのが、ここ数年の企画ですが、これが一層発展しながら続くとよいと思います。また、安全工学誌も、安全関連の広い分野の情報をもたらしてくれており、助かります。
また、女性の参加者・発表者が多くいました。どの分野の発表会場でも、1割から2割は女性がいました。安全工学協会にどれくらいの女性会員がいらっしゃるのか私は知りませんが、安全工学研究発表会においても、もっと女性の発表が多くなってほしいと思います。生命・環境・新物質の問題などを中心に、広く安全の問題を考えるとき女性の視点からみた安全の考え方はますます重要になってくると思います。
当然ですが、発表・討論は英語で行われます。多くの日本人は苦労していると思います。今回、感じたのはネイティブの方に二タイプあるということでした。それは、特に討論であらわれるのですが、非ネイティブの人でもわかるようにしゃべってくれている人とそうでない人がいるということです。ネイティブの人がネイティブの方からの質問を受けたときでも、わかりやすく、比較的ゆっくりと回答してくれる場合には、我々も何を議論しているかわかりました。もち論、私たちの努力も必要ですが、国際会議は議論の場であることを考えると、会場の誰もが議論に加われるように配慮した討論を望みたいと思います。このことは、リスクコミュニケーションにおいて専門家でない人に技術的な内容を伝えるときにも必要な配慮だと感じました。