セーフティー・はーと

第3号 安全教育と安全情報

横浜国立大学大学院工学研究院   小川輝繁
事故やトラブルの原因の大半は人間が係っているため、各事業所では安全教育を保安対策の重要な柱にしておられるように見受けられます。人の危険回避能力は知識と経験に裏打ちされており、さらにこれらを危険予知に生かすことが重要です。
そのため、現場では危険予知の能力を高める教育訓練としてKYT活動が行われています。危険予知には潜在危険を洗い出してこれらのリスク(発生頻度と影響の大きさ)を評価する必要があります。人はこのリスク評価を無意識的に行い、危険回避を行っています。危険予知能力を高めるためには潜在危険の洗い出しとリスク評価を体系的に行えるようにする必要があります。この能力を身につけさせることが安全教育に求められます。安全に関する知識は科学技術の知識と事故やヒヤリハット等の体験に基づくものです。そのため、企業では社内外の事故情報を社内に周知し、また社内のヒヤリハットを収集することにより体験を活かす努力をしています。また、安全に係る業務を行っている行政機関では事故データベースの整備を行っています。また、文部科学省では事故等の失敗知識の社会的共有・活用のため「失敗知識データベース整備事業を科学技術振興財団に委託しました。このように事故情報データベースを整備し、公開する動きが活発となっています。多くの事故情報は活用するためには内容が不十分でありますが、この中から安全教育や安全技術に活用できる情報を抽出して整理することが必要です。