セーフティー・はーと
第134号 東日本大震災における「避難」の実態についての雑感
藤田 哲男 <東燃ゼネラル石油株式会社> 2011年7月11日掲載
早いもので、東日本大震災の発生から、二ヵ月半も経ちましたが、依然として、福島第一原発は収束の見込みがはっきりせず、何とかその方向が一刻も早く見えるようになることを切に願っている毎日です。
早いもので、東日本大震災の発生から、二ヵ月半も経ちましたが、依然として、福島第一原発は収束の見込みがはっきりせず、何とかその方向が一刻も早く見えるようになることを切に願っている毎日です。
一方、大震災の事故解析は進みつつありますが、最近、都心からの帰宅困難者の問題が取り上げられていましたので、今回は「避難」の課題について考え直してみることにしました。
当日の「避難」の実態を追ってみると、その準備のあり方およびその実際の実施方法によって、大きな差異があったようです。たとえ、準備をしていても、想定外の津波の大きさには到底対応できなかったケースもありますが、きちんと綿密に対策を取っていれば、助かったケースは多かったと考えられます。車で避難しようとして、却って渋滞で命を落としたケースも多々あったようですが、車の機能を過信してはいけないと言うことのようです。「まさか」とか、「まだ、大丈夫」とかの思い込みで被害にあった例も多かったようです。改めて、大震災に向けた「避難」要領を見直して、その実施訓練を早期に計画する必要があるように感じました。
また、都心からの帰宅困難者の問題については、皆一斉に帰宅に向かえば、却って危険な状態に陥る可能性が高いことが実証されたようです。帰宅の動機は、家族の安否確認が取れない、家族に早く会いたいと言うことが多かったように思われますが、安否確認方法や携帯電話等の連絡手段の向上を図り、都心での避難対策をもっと充実させれば、ある程度は解決されるように感じました。
つい先日も、死亡事故に至らず幸いでしたが、JR北海道石勝線トンネル内での特急列車火災事故では、まさしく「避難」のあり方がことの大事を左右しました。問題は、避難誘導がJRによってなされなかったことです。想定、想定外の是非はともかく、ここは真摯に不備を認め、再発防止に努力する姿勢が求められていると感じました。