セーフティー・はーと
第10号
安全工学協会 会長 大島 榮次
安全に関する法規制については、対象となる危険物質を扱っている所にとっては直接的な関心事ではありますが、国際的にはかなり以前から、また我が国ではこの数年来、その考え方が変わりつつあります。
安全に関する法規制については、対象となる危険物質を扱っている所にとっては直接的な関心事ではありますが、国際的にはかなり以前から、また我が国ではこの数年来、その考え方が変わりつつあります。
象徴的には、機能性規格化という言葉で言われるように、強制法規においては、安全に関して満足すべき条件を示すに留め、それを実現する方法は直接の担当者である企業が責任をもって決定するという考え方が採用されつつあります。 その結果としては、法規制は緩和されるように見えますが、他方それだけそれぞれの事業所の自主保安の責任が重くなることを意味しております。 法規制が求める条件を満足させる具体的な方法として示されるのがJISやASMEのような技術基準ということになりますが、それとても一つの例に過ぎず、他の基準を採用しようとすれば、示された技術基準と同等あるいはそれ以上に安全性が確保されることを証明することを前提に、独自の基準に従うことが認められるのが最近の外国、特にヨーロッパでの考え方になっています。 やがて我が国でもこうした考え方が実現することになりますが、そのためには各企業が独自に保安の技術を研究して自主保安を全うする責任が求められることになるでしょう。