セーフティー・はーと
第62号 最近の事故増加に思うこと
高木 伸夫 <システム安全研究所>
ここ数年、火災爆発事故といった化学事故が増加の傾向にある。これら事故を振り返ると、旧動燃のアスファルト固化施設での火災爆発事故、廃プラスチック油化プラントやRDF貯槽、また、ごみ処理設備での火災爆発事故、タイヤ工場や製鉄所での火災爆発事故など従来型の化学産業とは異なった分野において増加傾向にあることが特徴として挙げられる。
ここ数年、火災爆発事故といった化学事故が増加の傾向にある。これら事故を振り返ると、旧動燃のアスファルト固化施設での火災爆発事故、廃プラスチック油化プラントやRDF貯槽、また、ごみ処理設備での火災爆発事故、タイヤ工場や製鉄所での火災爆発事故など従来型の化学産業とは異なった分野において増加傾向にあることが特徴として挙げられる。
化学産業も含め、事故の原因としてリストラによる人員の削減が主因のように言われている。それも一因であろうがそれで済ませてよいものではない。字数の関係上、キーワードしか示せないが、常日頃感じている幾つかの点を次に示す。 ①操業、設備管理を協力会社、業者まかせにし、事業主体の安全ポリシーが欠如している
②化学プロセスに携わってこなかったものが主体となった運転がなされている
③取り扱う物質ならびに装置特性に対する知識、教育があまりにも不足している
④事業主体ならびに操業現場に化学に関する知識を持った技術者が不在である
⑤縦割り組織、もしくは複合組織に起因する情報交換不足と責任体制があいまいである
⑥メーカー納入設備に対する受入時の詳細な点検、確認をせずにそのまま運転している
⑦メーカーも運転現場も言われたこと、あるいは、マニュアルに記述されたことしか実施せず、
安全に対する感性が欠如している
⑧安全に関する知識の属人性が強く、論理性、普遍性に欠けている
事故は複数の要因が重なり合って発生するものであり、上に示した要因に心当たりがある関係者も多いのではないだろうか。事故の根幹原因にさかのぼるとマネジメントエラーに帰着することが多い。トップマネジメントの強力な推進力が必要である。