セーフティー・はーと

第45号 安全情報の活用に向けて

若倉正英  <神奈川県産業技術総合研究所>
化学物質の危険・有害性や事故事例、国内外の関連法律や条令に関する多様な情報が、インターネット上で提供されています。
最近、独立行政法人産業技術総合研究所が科学技術振興事業団のバックアップのもとに公開した「リレーショナル事故データベース」は、主として国内の数千件の化学事故例を掲載していますが、それに加えて事故進展フロー(事故に関連した作業者の行動、機器の状態、事故が拡大した要因などからなる事故の時系列的な流れ)や、関連物質の熱分析チャートを含む事例もあり興味深いデータベースです。また、本年度改訂された化学便覧(日本化学会)では、安全に関する化学技術情報を数値データで載せるというこれまでの形式から、ウェブ上での検索をも考慮して多くの情報サイトを紹介しています。安全工学協会でも協会誌や本年度の安全工学シンポジウムでのオーガナズドセッションなどを通して、様々な安全情報の紹介に努めております。今後は、それらの多様な情報をいかに現実の安全活動に活用するかが重要な課題になると思われます。そこで、当協会では安全情報委員会を立ち上げ、安全情報の活用に関する手法の検討や、安全専門家の人的情報などの整備など行うべき作業の基礎固めを始めております。安全情報委員会の活動内容や方向性に対して、会員各位のご意見、ご要望をお聞かせいただきたいと念じる次第です。