セーフティー・はーと

第27号 HaZOpとWhat-if

高木伸夫   <システム安全研究所>
プロセス安全性評価手法にHAZOP(Hazard and Operability Study)とWhat-ifという手法があります。
両手法とも専門分野の異なる複数のメンバーからなるチームを編成して実施するのが一般的です。前者は、ガイドワード(無し、増加、減少、逆転など)とプロセスパラメータ(流量、圧力、温度、液レベルなど)を組み合わせることにより、例えば「流れが無い」、「流れが増える」、「逆流」といったプロセス異常を想定し、その原因となる機器故障、ヒューマンエラーなどをまず洗い出し、次に、その原因が発生した際のプロセスへの影響の検討、異常の発生防止ならびに影響の抑制にあたって講じられている安全策の妥当性を評価しようとするものです。一方、What-ifは、評価チームのメンバーそれぞれの気付きにより、「ポンプが故障で停まったら」、「バルブが閉まったら」、「不純物が混入したら」といった異常の引き金事象を想定し、それが発生した際のプロセスへの影響の検討、安全策の妥当性を評価する手法です。手法としてはHAZOPの方が系統的・網羅的でWhat-ifの方が簡単ですが、逆に簡単さゆえに上手く機能しないことがあります。時々、What-ifを上手く実施するにはどうしたらよいかという質問を受けます。色々な要因がありますが、対応策の1つとしてHAZOPの経験を積み、HAZOP的な思考方法をWhat-ifに持ち込むことにより効率的にHAZOPに近い効果をあげることができると思います。