セーフティー・はーと

第12号 これからの安全技術のあり方

飯塚義明 (三菱化学㈱ STRC 環境安全工学研究所)
月並みですが、先ずは、新年明けましておめでとう御座います。穏やかな元旦の中、休み明けにある2002年度のプロジェクト案件の説明資料を作成しています。
我々のような企業の安全技術者(科学者)が注力すべきターゲットとは何か。
日本では、二つの流れに沿って思考の展開があるように思えます。一つは、新しい科学技術とそれに関連する産業の安全を事前にどのように安全性のアセスメントが行えるか、です。従来、新しい分野への安全科学の展開は、大きな災害が発生後に研究が開始されることがほとんどでした。新しい科学技術における災害防止には、個別論でなく、いろいろな分野に共通する安全科学の発展が必要です。もう一つは、時代に取り残されつつある石油化学を中心とした巨大装置産業の安全管理です。基本的には、この産業分野の運転、保守における安全は、かなり完全に近い状態で管理が進んでいると思います。問題は、主流でなくなっていくこれらプラントの安全管理のあり方です。これまでの培ってきた技術、知識の伝承が不十分な場合、常識が常識でない状況が生まれます。個別企業だけでなく、当協会のような安全に関係する学会がバックアップする体制があっても良いような気がします。