セーフティー・はーと

第51号 消防士の安全は?

大谷英雄  <横浜国立大学大学院工学研究院>
8月19日に発生した「三重ごみ固形燃料発電所」のRDF貯槽の爆発事故により消防士2名が死亡した。このような消火作業中の消防士の死亡事故が国内では東京や神戸,さらに大きなものとしてはニューヨークのワールドトレードセンタービルで起こったのもまだ記憶に新しいところである。
消火活動というのは常に危険にさらされているが,これらは従来の知見では対応できない火災のように思える。従来工法とは違う建て方をされた建物や,従来の経験にはない可燃物の火災に対した場合にどのような消防戦術を取ればいいのだろうか。火災の研究は,研究者の数が少ないこと,実際にその火災が起こらないとニーズを理解してもらい難いことなどから技術進歩の後追いになりがちであるが,例えばRDFの性状については情報がないわけではなかった。RDFが何故発熱しているのか理由を考えてみることはできなかったのだろうか。特殊な火災に遭遇することはまれではあろうが,消防の指揮を執る者には従来以上の幅広い知識およびそれに基づく洞察力を養ってもらいたい。