セーフティー・はーと
第135号 安全第一 とは
若倉 正英 <独立行政法人 産業技術総合研究所> 2011年8月26日掲載
安全工学会では、小野会長のご尽力で石油化学産業の社長経験者また現職の社長さん方との意見交換を何度も行い、安全に関する社長の役割についてとりまとめている。
安全工学会では、小野会長のご尽力で石油化学産業の社長経験者また現職の社長さん方との意見交換を何度も行い、安全に関する社長の役割についてとりまとめている。
意見交換会に同席させていただいたおり、トップの方々に共通する思いが2点あるように感じられた。1点目はお題目としての「安全第1」はあまり意味がないといわれる方が多いことであった。安全が必須なのは当然であって、その上に企業の存続と発展があるのだが、それを社員にどのように理解してもらうのかに苦慮されているという。ある社長さんが、「若い社員達はボランティアに関心が高く、東北大震災への対応も生かして、企業の社会貢献の重要性を基盤に安全の意義を浸透させたい」といわれていたのが心に残っている。若者のボランティアへの関心については、社員教育を主な業務とする会社の方からも同じことを聞いている。
第2は自社の安全のレベルや安全風土の弱点についてであった。安全部門を含めて一生懸命取り組んでいることは理解しているが、会社の運営に全責任を負っている社長さんとしては、業界内での安全上の位置づけを知りたいというのは、切なる思いのように感じたのであった。
なお、社長の役割についての意見交換の経緯や提言は、安全工学誌Vol.50 №3・№.4で報告されている。