セーフティー・はーと

第55号

西 晴樹  <独立行政法人 消防研究所>
平成15年9月26日に発生した十勝沖地震では、行方不明者2名、負傷者844名などの人的被害、1676棟の住家被害、火災4件などの被害が発生した(平成15年10月23日20:00現在)。
この火災4件のうち2件は、屋外タンク貯蔵所の火災であり、かつ、同一の事業所で発生したものであった。日本において、地震で屋外タンク貯蔵所が火災となった事例としては、昭和39年の新潟地震での事例や昭和58年の日本海中部地震での事例があるが、最近はほとんどその例を聞いたことがなかった。
 火災原因の究明は、消防機関のこれからの調査を待たねばならぬが、当該火災が与えた社会的影響を考慮すると、火災原因調査は早急に、かつ、徹底的に行われなければならないであろう。
 今年は、日本を代表する企業の事故や火災が続発しており、こうした事態を踏まえて、総務省消防庁では、関係企業から関連事項についてヒアリングを実施したり、関係各省と相談しながら、「産業事故災害防止対策推進関係省庁連絡会議」を発足させ、産業事故災害の防止について、情報交換および安全対策の検討を行っている。
 こうした活動展開していくことにより、このような災害の再発を防止し、みんなが安心できるような防災体制が確立されることを願う次第である。