セーフティー・はーと
2007年12月の記事一覧
第118号
古積 博 2007年12月10日掲載
今秋、中国、韓国を訪問する機会があった。小生、両国とも過去数10年の間にそれぞれ数回ずつ訪問しているが、ここ数年の両国の変化の大きさには目を見張るものがある。また、その活気には圧倒される。
今秋、中国、韓国を訪問する機会があった。小生、両国とも過去数10年の間にそれぞれ数回ずつ訪問しているが、ここ数年の両国の変化の大きさには目を見張るものがある。また、その活気には圧倒される。
日本には、長年、「世界第二の経済大国」という枕詞が与えられてきたが、昨今の中国の発展と日本経済の沈滞のために残念ながらこの枕詞を返上する時がやってきた。一方、安全防災の面でも日本は長年世界の中でも高いレベルを維持してきたが、これも中国、韓国に追いつかれつつあるように感じられる。これは、国際的な雑誌での中国や韓国の論文の掲載数の増加をみても判る。
日本が世界の安全防災の面で引き続き、世界のトップランナーの立場を維持するためにどうしたらよいのか、考えさせられる。我々、研究者は、先ず第一に、引き続き、地道な研究を続け、成果をできるだけ発表するべきであろう。また、国際会議に出席するなら出来るだけ発表したいものである。外国の研究者と交流する時、ギブアンドテイクでないと続かない。研究発表の質は最も重要だが、数も大事であろう。研究者は、利害が絡まない場合、研究成果に対しては、公平である。日本からたくさん発信していれば思いがけない好意的な反応があるかもしれない。他方、成果を基に社会に貢献して安全工学研究の認知度を上げ、その重要性を理解してもらうよう努力したい。他方、安全工学会は日本の安全防災研究の司令塔なわけで、我々の研究の高さと重要性を国内外の社会に理解してもらうようサポートしていただけるとありがたい。また、我々はどうしても視野が狭いので社会のニーズを取り込み、研究の方向性を示していただけたらありがたい。
国際化がはやりだが、我々は日本人であり日本がベースである。日本の存在感が無くなるのはさびしい。