セーフティー・はーと

2005年5月の記事一覧

第89号 そして「変更管理」の問題による事故は繰り返される

渕野哲郎 <東京工業大学所> 2005年5月16日掲載
大惨事となったJR西日本福知山線での脱線事故に関して,信じられない「新事実」が,事故後一ヶ月近くたつ今も,頻繁に報道されています。
運転手の異常な行動や,組織風土の問題はさておき,「過密スケジュールでの遅れを取り戻すために,日常的に行われていた速度オーバー」,「物理的な路線と運行計画間の整合性を無視して,現場の都合で勝手に変更された運行方法」・・・何処かで聞いたことのある話しではありませんか?そうです,JCOの臨界事故です。「プロセス,操作手順,現象の間の整合性を無視して,時間短縮のためにプロセスおよび操作手順を,現場で勝手に変更したがゆえに起きた事故」・・・,「変更管理」の問題による惨事と言っても過言ではありません。では現場では不整合を認識していたのでしょうか?一字一句は覚えていませんが,JR西日本の技術責任者が「物理的なカーブの設計スピードは,現在調査中です。」と答えていたと記憶しています。えっ?そんなこと,この情報化社会で調査することか?「何時迄,ローテクとするのか,安全管理」字余り。