セーフティー・はーと

2006年3月の記事一覧

第103号

飯塚義明 <(有)PHAコンサルティング>
総合化学会社の開発研究部門で30年間「安全評価技術の開発」と「開発部門や生産部門の技術支援」に費やした。
3年前にこれまでの経験を活かして,他の会社の安全技術(思考方向)向上のお手伝いをしているが,その中で感じたことは,1990年代前半までは,企業間で安全意識に温度差が見られた化学産業界であったが,その後,技術,意識の両面で企業間の差はかなり無くなってきていると思われる。しかしながら,ある化学品加工メーカーの工場幹部と保安安全について議論したところ,その工場幹部から「最近,当工場は全く事故が無く,このような状況下での高い安全意識を継続させることが難しい」と告げられた。この会社以外にも,世界に誇れる安全で,生産性の高い技術が日本の産業界では,活躍している。これらは,今話題の団塊の世代の優れた技術者達がつくり上げた「生産技術」の成果である。これらの技術をどのような形で後世に伝えて行くかが重要な課題である。過去の事故情報や失敗事例のデータベースも有用であるが,他人のことではなく自分達の職場の問題として認識させる手法の取り入れも考慮すべきことと思う。先輩達がどのような経緯をたどって,成功に至ったかを詳細に解析することも一つの方法である。即ち,何故安全が維持されているのか,そこにある技術的要因とソフト的(人,組織)要因との係わり合いを科学的に解明することである。「たまたまの安全なプロセス」にも事故を起さない理屈があることを知ってほしいと思っている。