セーフティー・はーと

第128号 ノーベル 安全工学賞

岡田 理 <三井化学株式会社> 2010年12月6日掲載
2010年 ノーベル化学賞を鈴木先生、根岸先生が受賞され、日本に明るい話題が走った。両先生は、出身校などで講演をされ、研究に対する情熱などを語られている。
2000年以降、ノーベル化学賞、物理賞で同時受賞など日本人受賞者が増え、日本の科学が注目されている。ご存知の通り、ノーベル賞は、ダイナマイトの発明者であるアルフレッド・ノーベルが自分の遺産を人類のために貢献した人々に還元するようにと言う遺言から始まったとされている。ノーベル賞には、物理賞、化学賞、生理学・医学賞、文学賞、平和賞、経済学賞の6部門がある。ボーダレスの昨今、物理賞、化学賞、生理学・医学賞の領域の違いがわかりにくくなってきているような気がする。将来、自然科学賞などと一括りにされることがあるかもしれない。人類のために貢献しているのは、自然科学だけではなく、工学もまたしかりである。むしろ、工学の方が直接貢献しているのではないか。ただ直接貢献しているが故に、経済的メリットを受け商売につながり、ノーベル賞を与えなくても技術が注目されるということであろうか?

また、そもそもダイナマイトの発明者のノーベル氏にふさわしい安全賞もしくは安全工学賞というのがあっても良いのではないか?安全は、重要と言われつつも中々経済的メリットと結びつきにくく、発展するためには、いくつか壁を乗り越えなければならないような気がする。そのためにも将来ノーベル安全工学賞ができることを望む。